オーストラリアのFair Work Ombudsmanは労使問題・職場関係問題における警察・検察組織のようなもので雇用に関する不正に対して非常に厳しい措置を取ることで有名ですが、つい先日、オーストラリアでは初めてとなる給料体系における人種差別で立件した事案の判決が下されました。このケースでは、ホテルを所有するオーナーが外国人夫婦を国外からビジネスビザで呼び寄せて雇用した際の労働条件が明らかに他のローカルスタッフとは異なっていたことが問題視され、裁判所は雇用主が外国人労働者を雇用するにあたって意図的な労働条件の差別を行っていたものと判断し、本来支払われるべきだった給料との差額分である計29,325ドルの支払いはもちろんのこと、雇用主である会 社と実 際に不 正を働いたDirectorの男性に$211,104の罰金を科しました。
オーストラリア政府はこのような差別雇用がオーストラリア国内で起きていることを強く問題視しています。特に外国人労働者でビザをスポンサーして貰っている方はビザがキャンセルになることを恐れて雇用主に対して強く出れないことが多く、結果として、雇用主による不正が野放しとなっているケースは少なくありません。また、外国人労働者は特定の言語環境下で生活をしていることも多く、オーストラリアのルールや法律に疎いという現状がありますが、オーストラリアの労働法では雇用主が立場の弱い外国人労働者から給料を(搾取という表現ではなく)盗ん
だとみなす傾向にあり、法律で定められている最低賃金・労働条件で働かれている方は、同じような被害にあわれる方がでないよう呼び掛けています。