グレートバリアリーフで目にする魚の仲間に、私たち日本人が自然と近親感を覚える名前のハゼが存在します。ハゼの名前はAkihito’s Goby。この名前だけでピンと来た人もいるのではないでしょうか??
今回はGBRで見られる天皇陛下が御名なされたハゼの仲間達についてお話していきましょう。
2019年4月30日に譲位(生前退位)を御決意成された第125代天皇、明仁天皇が世界的に有名な海洋生物学者であることはご存知の方も多いはず・・・秋田県の田沢湖で1940年に絶滅したとされる“クニマス”の発見を巡ってさかなクンと絡んだ話も話題になりましたね!昭和天皇は植物学者として有名でしたが今上天皇が魚類学者、主にハゼの分類学者として世界的な権威であることは有名なお話です。日本魚類学会の会員でもある明仁様は現在のところ32篇もの魚類に関わる論文をお書きになっておられます。
また、アケボノハゼ、ギンガハゼ、ニチリンダテハゼ、シマシロクラハゼ、イトヒキインコハゼ等、日本らしく美しい名前を天皇陛下御自身で名付けられた事でもその御功績が理解出来ます。天皇陛下の熱心な研究成果を称え、アキヒト属というハゼの属名まで献名されているのです。ご自身によりキマダラハゼ、ヒメトサカハゼ、コンジキハゼ、クロオビハゼ、ミツボシコマハゼ等多くの新種の発見も功績の内の一つと言えます。
ケアンズから東へ約50㎞程離れたMoore reef(ムーアリーフ)ではその内の一種、イトヒキインコハゼ(日本語名)を見る事が出来ます。このハゼは学名がExyrias akihito、英名ではAkihito’s Gobyと呼ばれています。オーストラリア人の学者Allenと Randallの協力のもと2005年に論文記載され学名が付きました。GBRでは大型種のオバケインコハゼと生息場所や生態が重なるため、オバケインコハゼを探すとおまけにイトヒキインコハゼが見つかることが多いようです。日本国土から約7,000kmも離れたこのグレートバリアリーフで、今上天皇の名を持つ魚が見られるとは・・・
何とも不思議なお話です。GBRを潜る際には是非ともアキヒトゴビーをリクエストして見て下さいね!!
同じくモアリーフで見られるオバケインコハゼ