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「個」の範囲
2009年07月30日
ケアンズの北に、ココナッツビーチがあります。
裸足になり、細かな砂の感触に癒されながら、この場所にたった一人で立つと、自分と海と空と大地とが一体になったような感覚を覚えます。
自己という「個」の境界はどこにあるのでしょうか?
デカルトは「われ、思うゆえに、われあり」といい、確実に存在するといえるものは、考えている自分しかないと説きました。
少し極端な考え方ですが、全ての事柄が夢ではないという確証は何も無いわけです。つまり、意識できる範囲が「個」であるといえます。
現代社会では一般的に、「個」とは肉体によって境界された範囲と考えられているでしょう。わかりやすく言いかえれば、「自分」と言ったときに意味するのがこの範囲です。
この範囲には無意識も含まれるため、少し範囲が広がりました。
「個」をより広い範囲としてとらえる考え方も存在します。
スピノザは「個」を含めた「世界」全体が「神」であると説き、アボリジニの文化では「個」とオーストラリアという母なる大地が限りなく一致しています。
現代社会でも、国なくして個人なしといわれるほどまでに、社会や文化、人間関係と個人との間には、深い関係があるのです。
これでも「個」の境界は肉体といえるでしょうか?
そのため、私は、「個」が健康であるためには、「世界」も健康でなければならないと考えています
ココナッツビーチは、自分という「個」と「世界」には深い関係があり、自分自身を大切にしたいと考えたときには、他者や社会、地球や宇宙を大切にしなければならないこと。そして、「世界」を大切にしたときには、これらを構成する「個」も大切にされなければならないことを教えてくれているように思います。
プロフィール
- ymitsui
- 三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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