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こころの奥での楽しみ

2011年02月27日

先週は医師会の先生方を対象に「生活を楽しむと長生きできる?」というテーマで講演をしてきました。

少し長くなりますが、ケアンズ療法とも関係しますので、ポイントとなるスライドを抜粋して内容をご紹介します。

 

まず、こちらのスライドは厚生労働省研究班によって行われた研究の結果です。

生活を楽しんでいないグループは、楽しんでいるグループと比べて、男性の場合、脳梗塞や脳出血による死亡率が1.75倍、心筋梗塞による死亡リスクが1.91倍という結果でした。

つまり、生活を楽しんだほうが、病気によって死亡する危険が少ないということです。

 

そのため、外来を訪れる患者さんに、なるべくストレスを減らして、生活を楽しむことをアドバイスするのですが、なかなか簡単にはいかないようです。

次のような答えが返ってきます。

楽しむということはそれほど大変なことなのでしょうか?

こころの奥を探り、楽しみを考えてみたいと思います。

 

こちらは、人間が楽しみを感じるときの行動学での動機や哲学での態度です。

行動学では、人間は「新しく珍しいもの」、「適度に複雑で少し努力すればできるようになるもの」、「成功したり失敗したりという不確実があるもの」に楽しみを感じるということがわかっています。

一方哲学では、「日々の快楽、仕事、雑事」といった外面にこれらの動機を見出す生活態度もあれば、「ほんとうの自分」を取り戻し、こころの奥にある良心に従うといった内面に動機を見出す生活態度もあります。

 

では、こころの奥では何を求めるのでしょうか? フランクルの記録を参考にしたいと思います。

フランクルはナチスの強制収容所で奴隷労働を体験したときの事柄を記録しています。

強制収容所では、今まで蓄えてきた物質的な財産は全て没収され、食事さえも、水みたいなスープしか与えられません。

また、生命すら意味なく奪われるという状況です。

このような中では、性欲や死にたいという欲求すらも起こらず、ただ、食べることしか考えることができなくなると報告しています。

やはり、世界中のすべての人々に十分な食料がいきわたることは大切だと感じます。

また、意味なく拷問を受けたときなどに自尊心が顔を出すことも報告しています。人間にとって自尊心はとても強く、適切に表現されることも大切に思われます。

人をむやみにからかったり、差別することはしてはいけないことがよくわかります。

では、これらが満たされなかった時には何が大切であったかというと、次の五つを報告しています。

「愛情」「思いやり」「自然への感受性」「希望」「神秘体験(霊性)」です。

ケアンズは、こころを開けば、これらの多くを与えてくれるような気がします。

 

こちらは古典的な成功哲学者、ナポレオンヒルからの引用です。

ナポレオンヒルは富は富を引き寄せるという法則を発見し、富を次のようにとらえています。

こころを開いて目に見えない富を得ることができるようになると、自然に多くの富が集まってくることを説明しています。

 

では、こころを開くことが難しいことなのかというと、どうもそうではないようです。

ユングによると、人間は40代で精神的価値の逆転が起こり始めます。

人生の前半は、周囲から認められるひとかどの人間になること、魅力的な異性を求めることを価値として行動し、人生の後半は、精神や魂を深めることに価値を置くようになることを説明しています。

人間が成熟してくると、自然に富を得ることができるようなってくるように思われます。

 

それでは、内面を深めてゆくとどのようなことが起こるのでしょうか? こちらが、ドミンゲスからの引用です。

つまり、日々、生きていることが楽しくて楽しくて仕方がなくなるわけです。

 

こころの内面を掘り下げはじめるとすぐにこの大命題にぶつかります。

ゴーギャンの名画で、題名は「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」です。

我々はどこから来たのかとは、どうして生まれてきたのかなぁ?という問いです。

最近では生まれてこなければよかったと考える方も多いですが、人間に生まれてきてよかったと多くの方が思えるような社会にならなければ、なかなか病気もなくならないように感じます。

我々は何者かということも、人間には無意識があるため、なかなかわからないわけです。

我々はどこへ行くのかというのは、死んだらどうなるのかという問いです。

死んだらそれまでなのか、輪廻や永劫回帰のように、ぐるぐる回るのか、どこかに成長してゆくワンウェイなのか(私は一番これが好きです)、ということです。

普通の人間は確実な答えを持っていないわけです。

昔は宗教がこの答えを提供してくれていましたが、歴史の中で多くのイカサマ師が出現したこともあり、現代を生きる我々にとって、理由なく何かを信じることはとても難しいのです。

 

そこで、人間は哲学やヨガなど様々な手段によってこの答えを見つけようと努力します。

心医術では、今後もこれらを深め、よりよい健康を求めてゆきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

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三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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