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カンガルーから学ぶ愛情たっぷりの子育て

2009年07月24日

現在の自分の個性は、持って生まれた遺伝情報によるものでしょうか?それとも、両親や教師から与えられたしつけや教育、社会活動での人間関係のような、外部環境から影響を受けたものでしょうか?

このような、「生まれか育ちか」という議論は、はっきりとした結論が出ていないものです。

 

植物に目を移すと、違う遺伝子を持つ種子から生長した花は、当然違う性質を持ちます。しかし、同じ花から発生した、同じ遺伝子を持つ種子でも、播いた場所が違えば、気温や日照の影響を受けて生長に違いが出るでしょう。この現象は、花の個性には生まれと育ちの両方が大きく影響していることを表しています。

私には、人間の場合でも同じではないかと思えます。そのため、子供の将来を考えたときに、子育ての方法が適切であることは、とても大切なことだと考えています。

 

思いっきり甘やかすことと、厳格に社会のルールをしつけること。

これらは両方とも大切なことです。しかし、この相矛盾によって子育ては複雑で難しいものになるのでしょう。

 

私は、子供の可能性を最大限に引き出そうと考えたとき、様々な発達心理学の研究を考慮して、少なくとも赤ちゃんの時期には思いっきり甘やかす方針を選択します。

科学に基づいた意思決定は、しばしば他律的な冷たさを感じさせますが、この方針を実行することは愛情と一致していて、とても心地よく感じられます。

 

甘やかすことは、過保護とは違います。

赤ちゃんからの愛情や興味に対する要求にはできる限り応え、ぐずっているときには愛情たっぷりで接し、危険がない限り興味を持つものに対しては、満足するまで手を出さずに探求を見届けるということです。

具体的には、大切な作業をしていても、ぐずったらすぐに抱きかかえてなだめ、母乳やアタッチメントの望みを読み取ること。不機嫌な態度を大目に見ること。本棚からすべての本を引き出したり、食べ物を手づかみで遊んだり、大切な花を引きちぎるというようなことを飽きるまで笑顔で見届けるということです。携帯電話をいじられたり、ティッシュを全て引き出されるのがいやなら、はじめから赤ちゃんの目につくところにこれらを置かないことなどです。

赤ちゃんに必要がなくなれば、これらの行動は自然となくなるものです。

 

これらは完璧(perfect)ではなくても、ほどよく良ければ(good enough)よいと考えられています。

しかし、このような少し手間のかかる子育てを実践するためには周囲の協力は必要でしょう。

 

一方、あまりに厳しいしつけは危険でもあります。

 

赤ちゃんは2歳くらいになるまでは、状況の詳しい理解ができず、記憶のシステムも完成していません。そのため怒られて感じた不安や恐怖は不完全に記憶され、大人になってから、なぜだかわからないのに不安や恐怖が起こる、不安症や恐怖症の原因となることも考えられます。

 

愛情たっぷりに子育てを行う方針は、アボリジニの子育てと似ています。

私が驚かされたのは、アボリジニは心理学的にとても適切な方法で、子供の精神にストレスを与えず、自立を促す子育てを行っていたということです。

アボリジニの子育ては、カンガルーの子育てと関係しているともいわれています。

 

カンガルーの母親は、胎盤がないために、ポケットの中で赤ちゃんを愛情たっぷりに育てます。

 

人間でも母親と赤ちゃんの肌のふれあいが大切だという研究結果は広く知られています。

 

例えば、未熟児に対するカンガルーのような密着型のケアは、カンガルーケアと名づけられ、未熟児の生存率を上げ、母子の愛情の絆を強めることがわかっています。

 

子育てに関して、カンガルーやアボリジニから学ぶことはたくさんあるように感じます。

 

赤ちゃんは子宮という心地よい環境から、ある日突然厳しい環境に放り出され、強い不安や恐怖を感じているのです。どうか、叱ったり、興味を奪ったりすることなく、愛情たっぷりで接してあげてください。

 

ケアンズでは動物園でのほか、野生のカンガルーにも出会うことができます。

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プロフィール

ymitsuiymitsui
三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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