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緑地は病気を減らす?
2010年01月13日
先日、オランダの研究機関から、緑地と疾患の関係を調べた論文が発表されました。
オランダ住民35万人の疾患データを基に、心血管疾患、筋骨格系疾患、精神疾患、呼吸器疾患、神経疾患、消化器疾患などを対象に調査されました。
その結果、多くの疾患で、自宅の近くの緑地の面積が広くなるほど、病気を持つ割合が少なかったという結果でした。特に、うつ病や不安障害などの精神疾患との関係が、最も強い(緑地が広いほど良い)という結果でした。1)
オランダの研究結果を、そのままケアンズに当てはめることは適切ではありません。
しかし、ケアンズを訪れると、明るく、ポジティブな方が多いように感じます。
緑に囲まれたケアンズに住まわれている皆様にとって、このような調査結果は信じることができるでしょうか?
緑地と疾患という、かけ離れた関係では、その間にある、複雑なメカニズムを明らかにすることは非常に難しいものです。
しかし、ここでも、「こころ」⇔「からだ」のメカニズムが働いているように感じます。
つまり、緑地が「こころ」に作用し、その結果として、「からだ」に良い影響を与えたというメカニズムです。
そして、すでに先行する多くの研究で、自然環境と精神発達との間に関係があることが示唆されています。子供を持つ身としては、小児への影響が興味のあるところですが、今回の調査でも、小児で強い関連があることが示されました。
子供を自然の中で遊ばせると、
例えば、
立ち止まって、しばらく何かを考えたり
見たことのない植物に恐る恐る触ったり
土をいじったり、枝で地面に落書きしたり
草を手に取ったり、小さな虫をじっとみつめたり
自宅で遊んでいるときよりも、自然の中で遊んでいるときのほうが、機嫌が悪くなることが少なく、長い時間、ひとつのことに夢中になっているように感じます。
このような調査結果を思い出しながら、自分の娘のこのような傾向を見ていると、子供にとって、自然の中で遊ぶことが不可欠であるように思えてなりません。
また、この調査では、大人にとっても緑地が大切であるということが示唆されています。
さて、もし、緑地が「こころ」に働きかけているのであるとしたら、日本の冬の森林は、枯れ木や落ち葉、低い太陽による長い影などによって、「こころ」を少し不安定にする要素を含むように感じます。
日本が冬の間、ケアンズは雨季です。
スコールにより、水気を得た常緑や、スコールの合間にあらわれる、原色の緑を引き立てる高い太陽は、「こころ」に安定や活力を与えてくれるように感じます。(昨年のように、洪水で陸の孤島になるかもしれないという、別の不安はあるかもしれません)
そして、スコールの豊富な雨が、心身に大切な森林を支えていることを頭に浮かべると、雨のケアンズにもわくわくするようになるかもしれません。
参考文献)
1)Maas, J., Verheij, R.A., de Vries, S., Spreeuwenberg, P., Schellevis, F.G., & Groenewegen, P.P. (2009). Morbidity is related to a green living environment. Journal of epidemiology and community health, 63, 967-973.
プロフィール
- ymitsui
- 三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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