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芸術への羨望

2009年08月09日

私の父は、アボリジニ絵画の柄のネクタイを愛用しています。どこに行っても「素敵なネクタイですね」と褒められるのだそうです。褒めた方々は、アボリジニの芸術ということは知りません。

自然と「こころ」に響くのでしょう。

 

アボリジニは記録やコミュニケーションに、言葉だけでなく絵や音楽や踊りを使います。 

前回、言語は世界認識の手段としては、わずかな欠陥がある可能性を述べました。

絵や音楽や踊りはアナログ(連続体)であり、デジタル(非連続体)である言語よりも多くの情報が含まれています。そのため、アボリジニは、コミュニケーションのために主に言語だけを使用するわれわれとは、違う世界を感じていたのかもしれません。

実際、アボリジニは、われわれが感じることのできないエネルギー場を、感じることができていたという見解もあります。

  

残念なことに、現代西洋医学を信仰する、われわれ医師の多くが最も尊重しているのは、科学的根拠を示すためのデータを構成する、記号や文字であるように感じています。

しかも、「こころ」に響く美しさは大切ではなく、客観的と考えられる事実の伝達が最も大切な目的です。

  

科学はきわめて強い説得力を持つ反面、「こころ」を記号や文字の限界に縛りつけてしまうのではないかと常々感じています。

  

私が尊敬し羨むのは、絵画や写真、音楽やダンスといった芸術に携わる方々の意識構造です。 

私の感覚では感じ取ることのできない領域まで、より深く「世界」を観察し、感じとることができているのではないかと考えるからです。

  

このようなことに気づくことができたのも、ケアンズやエアーズロックで、アボリジニの芸術に触れ、「こころ」に強く響いたからだと感じています。

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プロフィール

ymitsuiymitsui
三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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