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■その49「時にはファショナブルに」
2007年09月05日
▲ご自慢のファッションセンス |
いつもはTシャツにショートパンツというカジュアルな服装の友人が、ファッショナブルなレディーに変身した。ひときわ目立つ華やかな帽子をかぶり、それに合わせたドレスで着飾る。
この日は地元で開かれる競馬ケアンズ・アマチュア・レースの開催日。イギリスの影響が色濃いオーストラリアでは競馬が市民の楽しみのひとつとなっている。
特に年一回開催されるアマチュア・レースの期間中は、女性達が目一杯おしゃれをして出かけていく。たった一回のレースのために、2000〜3000ドル もかけ、帽子、服、靴を新調する。女性達にとってはレースを楽しむというより、社交の場であり、また最新ファッションをチェックできる場でもある。
翌日の新聞には、レースの試合結果と並んでベストドレッサーやベストハットなどの賞が発表され、受賞した女性達が満面の笑みを浮かべて紙面を飾る。
私の友人の一人は見事このベストドレッサー賞を手にしたが、その熱の入れようはすごかった。彼女の部屋のコーナーには大きな木が一本置かれ、その枝には彼女のコレクションの帽子が30個以上は飾られていた。
また有名なメルボルンカップの開催日には国中が競馬一色になる。地元メルボルンは祝日になるらしい。普段競馬などとは縁がない人も、この日ばかりは、パ ブやレストラン、ホテルに繰り出して、大スクリーンに写し出されたお気に入りの騎手や馬に声援を送る。
有名ホテルのレストランでは、やはり華やかな帽子をかぶってドレスアップした女性のグループがテーブルを陣取り、この日のためのスペシャルランチ「メルボルンカップランチ」を楽しむ。
レース終了後、ホテルからベストハット賞などが発表になってプレゼントが送られ受賞者には会場から拍手が起こる。
一方で、「あれは私達と違う種類の人たちが楽しむものよ」と、冷めた見方をするオージーもいる。確かにカジュアルで、気取らないオージー達にとっては、 この日1日のためだけにお金をかけて着飾る人たちは特殊なのかもしれない。
平等を掲げるオーストラリアでも日本以上に貧富の差、階級の差が裏では存在するようだ。こうしたイベントを通して、オーストラリアの二つの側面を見ることが出来てとても興味深かった。
Sherri:(小学校教師。趣味はロックンロール・ダンス)
■ コメント:"The Melbourne Cup race is a big event on the Australian calendar. For the two minutes when the race is on, the whole nation stops to watch it. Workplaces all get together and watch the TV and even schools allow the children to watch it in the classrooms."
(メルボルンカップはオーストラリアの年間行事の中のビックイベントだわ。レース中の2分間は、全土で皆が足を止めてレースを見るのよ。仕事場ではテレビの前に皆が集まるし、学校でもこの日だけはクラス内でレースを見せてくれるの)
Edna:(孫、ひ孫の世話に忙しい近所のおばあさん)
■ コメント:"There is a saying that ‘no two hats are the same, because a Millener never makes the same mistake twice’. In the olden days hats were made by Milleners, and they would make every hat differently to fix the mistake made on the last one. So at the Melbourne Cup and the Cairns races no woman would be wearing the same hat. Nowadays it’s easy to see the same hats because they are made by the thousands in factories in Korea and China, not handmade by Milleners."
(「同じ帽子はこの世に 存在しない。Millenerは二度と同じ間違いをしないから」という諺があるの。昔はMillener(オーストラリアの帽子会社)が帽子を作っていた のだけど、新しい帽子は、前に作った帽子のミスを隠すように作られたから、皆違う形になったの。だから、メルボルンカップやアマチュア・レースで自分と同 じ帽子をかぶった女性がいるはずもなかったわ。でも、Milenerのような手作りと違って、今では韓国や中国の工場で作られているから、同じ帽子を見つ けることもできるでしょうね)
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