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エッセー

■その67「みんな大好きサプライズ・パーティー」

2007年09月05日

主人公が家のドアを開けると、「サプライズ!」のかけ声とともに、家族や顔見知りの友人達がいっせいに飛び出してきて、彼(彼女)の周りを囲み「誕生日おめでとう!」と口々にお祝いを述べる。もちろん、クラッカーの鳴る音も紙吹雪も定番だ。

これは、海外の映画やドラマでよく見られるシーンだが、先日は倉本聡脚本ドラマ「優しい時間」でも回想シーンとして使われていた(このときお祝いされていたのは、大竹しのぶ扮するお母さん)。
しかし、こういったシーンは、決して映画やドラマの中だけではない。オージー達は「サプライズ・パーティ」を気軽に計画し、楽しんでいる。

 
   

 学校の友達が集まって、誕生日のサプライズ・パーティを催すのはよくあることだ。子供達だけではなく、もちろん大人達も「サプライズ」を楽しんでいる。なかには1年以上も前から計画する大掛かりなものもある。

広大な土地をもつオーストラリアでは、家族、親戚が簡単に会うことはできない。そこで、クリスマスや結婚記念日、40歳、50歳、60歳の誕生日など特 別な日にサプライズ・パーティーを計画し、オーストラリア各地から友人、親戚などを招待した上で、主人公を驚かす。

私の友人の場合、子供たちが母親(友人)の誕生日にサプライズ・パーティを計画した。当日、自宅の庭でBBQをしていたら、突然フィンランドから両親、祖母、いとこなどが現れ、腰を抜かすほど驚いたそうだ。
このように、外国からゲストを招くこともあり、まさに「サプライズ」だ。

「サプライズ」は、パーティだけではない。
別の友人は、イタリアに留学中の娘が突然「サプライズ!」と言って家に戻ってきた、とニコニコしながら話してくれた。突然の帰国は、これで3回目だという。うまくいけば大変喜ばれるが、それなりにリスクも伴う。

当の娘さんは、ケアンズ空港に到着して自宅に向かいタクシーを走らせている時に、「そういえば、両親は近々旅行に出かけるかもしれないと言ってたけど、 家にいなかったらどうしよう。鍵も持ってないし、スペアーキーの隠し場所も知らないよ〜」と不安に襲われたとか。
どうしてそこまでして皆を驚かせるのが好きなのだろうか?驚かれ、そのあと喜んでもらうことの楽しさは、私にも理解できるが、その「サプライズ」にかける情熱には少々解せないところもある。

もし、何の前触れもなしに自宅に突然ゲストが現れたら、いつも家の中が(どちらかといえば)散らかっている私などパニックになってしまう。
以前ドアを激しくノックする音がしたので、何事かと思い急いでドアをあけると、日本に留学中の友人が、笑いながら玄関に立っていた。

「Mathew ! ここで一体何してるの?」と驚いて尋ねると、「ちょっと休暇でこちらに帰ってきたんだ!」と言う。もちろん、それなりに歓待はしたが、食事の用意もできず、飲み物もコーラとミルクしかない。
「前もって知らせてくれれば、もっといろいろ準備出来たのに・・・」と残念に思ってしまった。確かにその時の驚きは相当なものだったので、いたずら好きの彼としては満足だったに違いない。

あとで聞いたのだが、Matthewは私との共通の友人に「彼女(私)を驚かしたいから、僕がこちらに帰って来てる事、絶対言っちゃダメだよ!」と口止 めしていたとか。実は彼女も仕事中声をかけられ、顔を上げるといきなり彼が立っていたので「すごくびっくりした」と言っていた。

「サプライズ・パーティ」は、仕掛ける方の苦労も大変なものだ。店を借り切ってのパーティならば、事前の飾り付けなど比較的自由だし、すべてが出来上がった時間に本人に来てもらえばよいのだから、たいして苦労はしない。

しかし、自宅でサプライズ・パーティーを開く時には、そうはいかない。自宅での準備のとき、いかに本人を外に連れ出すか。自宅なのだから、そう都合良く は外出してくれない。うまく外に出てくれても、さて今度は、パーティの時間にちゃんと戻ってくるようにうまく話をつけられるか。

そして、帰宅したときに家の前にお客さんの車や自転車がたくさん停めてあると気づかれてしまうので、お客さんにはわざわざ遠くに駐車するように頼む、等々。

いずれにしても、全ては本人を驚かせ、喜ばせたいという気持ちからなのだ。「サプライズ」がうまくいって、当人の目にうれしさの余り涙でも浮かんだら、仕掛け人も幸せ100倍、というところだろう。


Zoe:(日本語が大好きと言うYear 10 将来はパイロットのなるのが夢)
■コメント:"Surprise parties are a lot of fun but it’s hard to keep them a secret. Sometimes the person finds out after they see decorations around the place or hear someone talking about it. Even though they have found out about the party, they still pretend they are surprised because everyone went to so much trouble to organize it. Afterwards they usually admit that they knew about it. I had a really funny experience when I was invited to a surprise party once. I arrived and someone told me everyone was downstairs. So I opened the door and everyone yelled ’surprise’ at me! Then they realised I was the wrong person and asked ‘what are you doing here?’ So I went and hid quickly because we heard that the real person was on their way. Unfortunately my mobile phone started ringing when I was trying to hide. It was a funny party."
(「サプライズ・パーティ」はとっても楽しいけど、秘密にしておくのは難しいのよ。飾り付けを見てしまったり、誰かが話しているのを聞いてしまったりし て、気づくこともあるの。たとえ気づいたとしても、知らないふりをするものなのよ。だって、準備が大変だったって知ってるんだもの。結局は、はじめから 知っていた、とバラすのだけどね。面白い経験をしたことがあるわ。私が「サプライズ・パーティ」に呼ばれたときのことなんだけど、私が会場に着いたら、 「みんな下にいるよ」って言われたの。それで、(下に行って)ドアを開けたの。そうしたら、みんな私に向かって、「サプライズ」って叫んだの。みんなはす ぐに間違いに気づいて、「何してるのよ」って。そのあとで、当人が来た気配がしたので、すぐに隠れたわ。そうしたら、私の携帯が鳴り出したの。もう、やん なっちゃった。でもホント、大変なパーティだったわ)

 
 

Edna:(ただ今親孝行な息子とメルボルンを旅行中。愛犬のことを思うとすぐ帰りたくなるとか)
■コメント:"To tell you the truth I don’t like surprise parties. Once my work colleagues and I planned a surprise party for another work mate. We all decided to bring a plate of food and go around to her house and surprise her. However when we surprised her at her door she looked very unimpressed. Her house was very messy and she has dirty plates in the kitchen, so she was obviously embarrassed. But it was too late, we had all gone to a lot of trouble, so we went ahead with the party. I will never participate in a surprise party again!"
(本当のことを言うとね、私は「サプライズ・パーティ」は好きじゃないの。一度、仕事仲間と一緒に、同じ仕事仲間のために「サプライズ・パーティ」を計画 したことがあるのね。食べ物を持ち寄って、彼女の家に行って、驚かしたわ。でも、彼女はあまりうれしそうじゃなかった。彼女の家は、とても散らかってい て、台所には食器が汚れたままになっていたの。彼女は明らかに決まりが悪そうだったわ。でも、後の祭り。パーティは続けたけど、うまくいかなかった。それ 以来、私は「サプライズ・パーティ」には参加しなくなったの)

 

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