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エッセー

終戦記念日に寄せてカナングラの古本Vol.87

2008年07月10日

「コリャ一体、何でしょうネ」 

 

日本語だと思うンですけど、と言いながら、綴じ込みも擦り切れ、黄色く変色したブ厚い本をソッとテーブルの上に置いた。

 

豪州陸軍マクナマラ中尉。

 

久し振りに娘と二人でケインズにやって来た。
NSWの海岸の町、バリーナから内陸に入ると、リスモーに至る。

ここから山越えしてクィーンズランド州に入り、マウントタンバリンに向かう山道は、豪州の懐の深い自然そのもので、私は何度も通ったものだ。

 

タンバリン山からは、眼下にゴールドコーストの町並と青い海が、吹き上げてくる風の中に見える。

この山中の町に娘が家を購入し、移り住んだのは、もう一年も前になる。

 
カナングラはタンバリン山麓の小さな田舎町。

この町から丘を越えた外れに、豪州陸軍の広大な訓練施設がある。

 

ニューギニアで日本軍と戦った部隊もベトナム戦も、全員この地で訓練を受けて出征して行った。

 

マクナマラ中尉はそこの教官。彼の案内でこの施設を見学した事がある。

ジャングル戦の訓練には持って来いの地景で、700人の兵士を収容する。

 

日本の忍者の鍛練場そのもののような面白い設備もあった。
中尉が積み上げられた雑多な物品の中に、古びた本を見つけたのは、つい最近の事だと言う。

 

当番兵に聞くと、焼却場に運ぶ前らしい。

どうやら日本語のように見える。

 

訳の判らない本だったんだけれど、だから余計に私に見せようと思ったそうだ。
確かに日本語だ。

国土行政区画総覧、とある。

 

何でこんな本が豪州陸軍の訓練場にあるのだろう。

発行日は、昭和26年5月5日。

ハハァ、なる程ナ、と思った。

 

この年は日本はまだ占領軍の統制下にあった。

独立は翌年の4月28日。

となると、日本の行政は1年後の独立を目指し、確実に準備計画中であったに違いない。 

 

 
綴じ込みがゆるく、ページがバラバラになりそうなその本を開いてみた。

 

第二巻。

という事は、少なくとも第一巻以外にも、まだ何巻かあるのかも知れない。

 

第二巻には幸い中国、四国地方が入っており、私の出身の愛媛県を捜してみた。

 

アルアル、市ごとに詳しい町名、公共機関の所在等々、ビッシリと区画整理されている。

 

今はもう消えてしまった私のガキの頃の懐かしい町名、学校名も見える。 
戦後、占領下の日本では、中国、四国方面の占領軍は、豪州軍が多かったはずだ。

 

軍港だった呉、広島、錦帯橋の岩国、愛媛の松山もその例に漏れない。

区画行政草案が完成した段階で、必ず占領軍がそれを閲覧したものと思われ、印刷の終了した本が、豪州軍に提出されたとしても不思議ではない。

 

その時の本の一部に違いない。

 
中尉が目に止めなかったら、もう少しで灰になるところだった。

以降日本語の本が見つかったら、全部取っておけ。

 

中尉の命令だそうだ。

又何か、出て来るかも知れない。

 

日本も安全ではなくなった、というニュースのタイトル。

私はテレビはあまり見ない。

道場から戻ると、我が家の夕食は9時を回る。

 

TBSのワールドニュースが丁度この時間帯なので、これだけは毎晩見る事にしている。

ただ人を殺して見たかった、という理由で、7人もの通行人を次々と刺殺したバカがいた。

 

少年犯罪の激増。

親も負けていない。我が子を平気で殺す。

 

韓国や中国にはいい様にあしらわれても、私腹を肥やすのに熱心な政治家達。

返り見られない老世代…云々。

一体このモラルと節操の無さ、狂気は何処から来ているのだろう。

 

 
母親は日本人だ、という子供を、男が道場に入門させに来た。

 

2年程も前。まったく躾のない、だらしのないガキだった。

まァ昨今こんな子供はまったく普通で、躾の良い普通の子供が来ると、まるで天才のように思えるから、子供の質というより、親の質の低下には目が余る。

 

子供を育てるノウハウの情報はあふれているけれど、情報に振り回され、親にしっかりとした主体性がないと、宇宙人が忘れていったような妙なガキに育つ。

 
この子供、服装もだらしがない。

近寄ると臭い。

 

日本人の若い母親は、躾はまったく駄目だが、服装だけは何とか小ざっぱりした物を着せる。

 

この母親、子供を残して新しい男とでも、逃げたナ、と思った。
ケインズにも最近中国人と韓国人が急増している。

 

以前は彼等と日本人の見分けがついたけど、最近の若者達、言葉を聞かないと判断出来かねる。

 

全部が全部ではあるまいけれど、すぐに男を捜して一緒になるのは、日本人。

極端にダラシのない服装、態度をするのも、日本人。

 

フレンドリーにチョット親切に、片言の日本語は愛嬌の一つ。

これでジャパニーズは簡単ヨ、という男達がいる。

どれも大した男共ではない。

 

そんな男達と子供でも出来たら、気心の判ってくる数年後、別れるのは目に見えている。

空手道場で豪州の男共を40年以上、見て来た。

 

日本人と一緒になった男達が長く続くかどうか、一目見れば判る。

その内ケインズには、日本人シングルマザーの会、というのができるのではないか。

男にしろ女にしろ、この節操の無さ、安易さには驚かされる。

私自身、自国の日本の様々な文化、歴史等をよく知らないので大きな顔は出来ないが、自国の良さを何一つ知ろうとせず、外地に来て英語を勉強さえすれば、何とか国際感覚が身に付いてくる、と考える日本人の多い事。

 

この短慮さ、国際感覚の無さ。呆れる。

 

 

日本人の精神的価値観が180度、大きく変わった原因は、戦後、もう少し突っ込むと、極東軍事裁判後の7年間に渡る連合軍の日本支配期間中にある、と私は考える。米英、欧州諸国はアジアへの覇権を狙っていた。

それには日本が邪魔になる。

 

あんな小国、一思いに潰してしまえ、と計画したものの、先に手を出すと国際世論が恐い。

そンなら、日本から仕掛けさせればどうだ。

こんな所は大国アメリカの何ともズルイ、又恐いお国柄だ。

 

日本は資源を外地に依存している。簡単だ。その資源を止めてしまえ。

日本は打って出ざるを得ない状態になる。

これがABCD包囲網。

日本にとって資源の凍結は、国内に一千万人以上の失業者を出す大恐慌を起こす。

 

日本側の交渉は全て失敗。

米は真珠湾から空母を外し、日本の仕掛けを待った。

 

奇襲される真珠湾攻撃は、米の撮影グループ、モーパックにより、最初から記録されている。

米は待っていた、という事だ。

 
米の世論はそんなにまでしても、と戦争突入に反対だった。

 

ところが、米国の思惑通りの真珠湾攻撃に日本は踏みきり、被害者の立場となった米国内の世論は一挙に戦争賛成になる。

米側の日本を潰す大義名分はこれで成った。

 

 
大国米の唯一の誤算は、簡単に潰せると思っていた小国日本。

玉砕に次ぐ玉砕の後は、特攻隊まで出して徹底抗戦を図る。

 

この民族の精神性は大きな脅威となったはずで、だからこそこの事実が、日本への増悪として極東裁判に現れてくる。

 
裁判長の豪州人ウィップは、日本人被告の証言を全て無視。

唯一人インド代表のパール博士が、日本の戦争は自衛の為、と確証を示して正論を提出したが、これも無視。

 

判決は日本の一方的侵略行為と見なされ、東条英機ら七人は死刑。

 

戦争で負ける、という事は、こういう事なのだ。

 
以後7年間の占領政策は、日本の精神文化の抹消のため、関連づけられる歴史、音楽、芸能等全て禁止。

国民には侵略国としての罪悪感を植えつけてしまう。昭和27年の独立時には、公職のポストは米国のやり方に100%賛同する左翼分子を送り、独立後も米国の意のまま動く国への地固めをする。

 
これら左翼系職員の方針と、裁判により侵略国と決めつけられた罪悪感。占領下7年の間に抹消された歴史と文化。

 

これが現在の日本の風潮を生み出した根底にある。
 

 

連合軍総司令官のマッカーサーは、7年の日本支配の間で、彼の日本に対する見方が変ってくる。

だからこそ日本嫌いのトルーマン大統領の気にさわり、日本独立の1年前、罷免されてしまう。

 

彼が米国に戻り、最高機関である上院の軍事外交委員会で報告した言葉は、英語大好きの日本人全員が知っておくべき事実だ。彼の結論である。
「THEIR PURPOSE THEREFORE IN GOING WAR WAS LARGELY DICTATED BY SECURITY」
(日本の戦争は自衛の為、やむなく行われたものである)

 
塗り替えられた真実を知る事は、日本民族としての誇りを取り戻すことにつながる。

 

 

来月は終戦記念日。

マクナマラ中尉の見つけた古本から、こんな事を考えた。

 

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