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エッセー

vol.38「再会」

2006年07月06日

 人がダイビングに興味を持つ理由は色々あると思うが、僕がダイビングにどっぷりはまっている理由は、陸上に住むほ乳類の中で、非常に特異な存在である人間の起源にあるように思う。

 進化論にも色々あるが、個人的に気に入っているのは『水生のサル説』である。『アクア説』ともいわれるが、類人猿からヒトに進化する過程で、水中での生活を通じて進化したのが現在のヒトであると言うものだ。

 結局、ヒトは水中のほ乳類の方に近いことが多いというものであり、異論は様々な形であるだろうが、僕はダイバーとしてこの『アクア説』が、今の自分がダイビングにどっぷり漬かっている理由をうまく説明してくれているように思う。

 ダイビングを初めて20年程になるが、小さい頃から海水浴などで水中を眺めるのが非常に好きだった。ウツボとにらめっこしたり、貝を集めたりした頃のことは今でもよく覚えている。宮崎へ向かうフェリーに乗った時に船の周りにイルカの大群を見たこともある。

 そんな感じで小さい時から接して来た海だが、今ダイビング活動の中でも最も興味があるのが『クジラ』や『イルカ』との水中遭遇だ。

 魚との出会いよりも、ほ乳類であるクジラ類は、水中で出会う感動が他の生物よりも数倍大きくなる。この記事が出ている頃にはほとんど終わりかけているが、ここケアンズでは毎年写真のようなミンククジラが大集合する季節がある。どこからともなく現れては、ダイビングボートやダイバーに大接近する。ホエールウォッチングというよりは、クジラによるヒューマンウォッチングである。水中でタンクの空気を吸っている水生のサルは、クジラと出会うことで進化上の過去を再確認することになるような感じだ。

 ミンククジラは体の模様等での個体識別が出来るのだが、以前同じ個体のミンククジラに2年越しで再会したことがある。

 クジラはそれぞれ個性が強いため、ダイバーへの接近の仕方だけでも特徴がある。以前遭遇したシーンとふとダブるような個体に出会ったことがあり、もしかしてと思いながら撮った写真を比較してみると同じ個体だったのである。この広いGBRのダイブスポットで、1年後同じ個体にあえる確率は非常に少ない。

 さてこれを書いているのはFLOREATというチャーターボートの上である。ミンククジラを追跡するためのツアーにクルーとして乗船しているのだが、今月ミンクチャーターツアー3回目のこのボートには、僕がケアンズに来た頃からの友人である、インストラクターTOSHIの率いるグループが乗っている。彼は以前ケアンズの名ガイドであったが、今では沖縄県恩納村にある「シーワークス」というダイビングサービスを経営している。その彼が約5年ぶりにお客様を連れて船に乗ってくれたのである。

 非常に嬉しい。小さい頃から引越が多く、親友というものが出来にくい環境だった中、ケアンズで10年程の付き合いを通じてダイビング業界について熱く討論し続け、時にはけんかになるが、翌日にはケロッとしてまた会っている。そんな友人が5年ぶりに戻って来たのだから嬉しいに決まっている。

 グループの中にも今までケアンズで会ったリピーターのお客様が多くいて、再会の嬉しさが倍増した。相変わらず酒の量は非常に多いTOSHIであったが、熱く語るダイビングへの思いは以前と変わらず、いや以前にも増して強いものを感じた。今回はクルーズの期間だけのケアンズ滞在であったが、また次回ケアンズに来てくれる日が今から待ち遠しい。

 クジラに話を戻すが、ケアンズ沖にはザトウクジラも1年に1度北上してくる。ザトウクジラの歌を聴きながらダイビングが出来るシーズンだ。模様等がほとんどないザトウクジラの個体識別は、写真だけではほとんど無理だが、世界で1頭のみ確認されているアルビノ(白色個体)のザトウクジラがいる。今年もこの白鯨「MIGALOO」がバイロンベイ沖を通過したニュースが入って来ている。バイロンからだと3〜4週間程でケアンズに来る計算だ。この白鯨がケアンズに戻ってくるというニュースも毎年耳にするのだが、海へ出かける時のワクワクする気持ちを高めてくれることには間違いない。

 ダイビングの仕事をしていると見知らぬ人との出会いが楽しいのはもちろんだが、知り合った人たちとの再会はさらに楽しく嬉しいものだ。頻繁に日本へ帰るわけにもいかないので、なかなか再会のインターバルが長くなってしまうのは仕方がないのだが、それでも1年に1度、数年に1度と言った形で長くつながっているダイバーの輪は僕の宝物である。

 7月の下旬からはフィリピンへ3週間弱帰る予定である。3年ぶりである。現地にいる知り合いのダイバーはもちろん、フィリピン人の友人との再会が今から楽しみだ。

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