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ケアンズ療法のすすめ       

遺伝された能力

2009年11月10日

自然の中で過ごすことは、大人のストレスを楽にするだけでなく、幼児の脳の発達にもプラスになるという知識を得てから、なるべく長い時間、家族で自然の中に身を置くことにしています。

ケアンズでエスプラネートで遊ぶ、活発な子供たちを目にして、わが子との運動能力の発達の差に、幾分、危機感を感じたのも理由のひとつです。

 

自然の中で遊ぶ子供を見ていると、いろいろ疑問に思うことがあります。

 

そのうちのひとつが、人間には生まれつきに、どこまでの危険を避ける能力が備わっているのかということです。

つまり、実際に痛い目にあうことがなくても、好奇心に逆らい、止めたほうが良いとか、近づかないようにしようと判断してパスすることができるかということです。

全ての危険かどうかの判断を、実体験や親から教えられた知識などといった記憶に頼るようでは、至る所、リスクに溢れたこの世の中で、生き延びることは難しいでしょう。

 

心理学分野での有名な「目に見える崖」の実験により、人間ばかりか、生まれたばかりの幾種の動物でも、生まれながらにして高所が危険であることが判断できると考えられています。1)

(とはいっても、幼児は危険は理解できても、運動能力が未発達なための失敗が多いので、大人の注意は必要です。)

 

話は逸れますが、霜降りステーキやアイスクリーム、タバコや酒などの、医師から見て、患者さんに摂り過ぎて欲しくない食品や嗜好品、行き過ぎた、怠け癖や臆病、自尊心や敵愾心といったバランスを欠いた精神状態などを、生まれつきに自然と避けることができれば、より簡単に幸福に近づけるのかもしれません。

しかし、時に役立つためにこれらを選択する性分は残されているのでしょう。

 

さて、うちの娘は1歳8か月なのですが、わりとチャレンジャーなのです。

 

踏み外して怪我をしないかと心配そうに見ていると、「大丈夫よ」というアイコンコンタクトをくれ、

心配をよそに、岩場を這い上がり、

 

登ると嬉しそうです。

 

しかし、誰が見ても近寄りがたい崖などには決して近寄りません。

  

アボリジニの幼児が、棒切れを槍に見立てて肩に担ぎ、走り回って遊んでいるのを見たことがあります。その時は、危なくないのだろうか、などと思ったのですが、娘も槍が好きなようです。

目に入らないか?こけて刺さらないか?などと色々不安になりましたが、それをよそに、ご機嫌に遊んでいるので、心配は無用なのかもしれません。

遊びは精神発達に有益な面があり、とりわけ大きな危険がない限り、「ダメダメ」と言いすぎず、子供の能力を信じて見守ることも、時には必要なのかもしれません。

 

参考文献

1)Gibson E.J. & Walk R.D. (1960). The "visual cliff". Scientific American. 202,64-71.

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このコメント欄の RSS フィード 2件のコメント »

tomoko(コメント) 2009/11/11 水曜日 8:41:01

  1. まだ生まれたばかりなのに、
    タイルで転んだらどうしようとか、
    こんなに小さいのに怪我をしたらどうしよう、とか、
    今から心配する毎日です。

    とはいえ、痛みも勉強(安全な範囲で)と思わなくては
    行けないのかも知れませんね。。。
    親の心配をよそに、子供は自分の中で判断して、時には危ないと思うような行動もしながら成長していくんですね。

    それを見守れるようにならなくてはいけない、
    こちらの方も成長が必要なようです。。。

ymitsui(コメント) 2009/11/11 水曜日 12:13:38

  1. 父親でもあれこれと心配になるので、母親であるtomokoさんの心配はさらに大きいと想像します。

    どうして良いのか迷ったときや成長を見守る安心のため、体調を崩したときなどには、発達心理学や医学などの理論や知識が役立ちますが、普段は私の知る理論よりも、妻の自然な行為のほうが優れているとしばしば感じます。

    どこまでが安全という、具体的な範囲を決めることはできないのでしょうが、母親が大丈夫だと感じた範囲が、色々なバランスの取れた安全な範囲なのかもしれません。

    女性は本当にすごいと思います。

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プロフィール

ymitsuiymitsui
三井 康利。 1972年静岡県生まれ。 1997年北里大学医学部卒。 内科医。 現代西洋医学と補完代替医療、思想・哲学の良い点を取り入れ、ホリスティック(全人間的)な視点から医療を考察・提案。 臨床医として日常診療に役立てている。 資格:日本内科学会認定医、日本補完代替医療学会学識医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本旅行医学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
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